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明日訪ねてくるがいい 

マーガレット・ミラー/著 青木久恵/訳 ハヤカワポケットミステリ(絶版)

駆け出し弁護士のトム・アラゴンは、デッカー夫人から依頼された前夫探しを担当することになる。前夫は数年前、メイドと駆け落ちしメキシコへ行ってしまったのだ。

結婚直後に卒中で倒れ、意思の疎通がやっとの状態とはいえ夫のいる身で、デッカー夫人は何故、自分を捨てた前夫を探そうとするのか?
それだけではない、デッカー夫人は夫の知力が衰えていないと考えていながらも、夫に前夫との思い出話をし続ける。それを止める術もなく、聞き続けなければならない現在の夫…

そしてメキシコで捜索するアラゴンの前に立ちはだかる、情報提供者の死。

デッカー夫人の前夫に対する執着が凄いです。最初の妻から無理やり奪い取り、逃げられても自分が再婚してもなお、彼との思い出を語り続ける姿。夫人はあれこれと口実を並べ立てますが、その根底に流れる前夫への思いの凄まじいこと。

そして最後の数行で明かされる真実には、戦慄を禁じえません。自分の目的以外何も見えなくなっている女の恐ろしさ、我が身の危うさに全く気づかない彼女の無防備さ。
いえ、目的を達しさえずれば、我が身がどうなろうとも頓着しないのかも。

ポケミスで刊行されましたが絶版、文庫落ちもしなかった本書ですが、ミラーの円熟期の作品でもあり、他の入手可能な本と比べても決して見劣りするものじゃない。いえ、かなりの傑作と言えるでしょう。

何故これが埋もれたままなのか?納得出来ませぬな。

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