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アゴールニンズ 

ジョー・ウォルトン/著 和爾桃子/訳 早川書房

父アゴールニン啖爵(だんしゃく)の死去により、仲の良い姉妹セレンドラとヘイナーは別々に暮らすことに。別れ際、彼女たちは「先に良い結婚をしたほうがもう一人を引き取って一緒に暮らそう」と誓い合います。
そう、女性には権利がなく、上流階級の子女は多額の持参金つきで身分の高い家に嫁ぐのが一番の幸福であり、支配階級と一般庶民の間には決して越えられない壁が存在する…

というと、“ヴィクトリア朝の女性小説か?”と思われるでしょうし、確かに時代背景はヴィクトリア時代そのままなのですが、実は登場するのは全てドラゴン。

女性は、娘時代は体中が輝く黄金色をしています。しかし男性と二人きりの時にある程度以上に接近してしまうと、婚姻色であるピンクに変化してしまいます。一旦変化したらさあ大変!その男性と結婚するか、でなければ一生独身のまま世間の冷たい目に耐えるか第2夫人として日陰の身となるか。
そして無事結婚したとしても、出産(勿論タマゴ)は命がけ。初産は兎も角、2度、3度と出産を重ねるごとに危険は増してゆくのです。


このドラゴンの生態は、この小説の筋に密接に関わってきます。それもその筈、著者は「ヴィクトリア朝の原理原則が仮に事実であり、避けて通れない生物学の法則であったなら、世界はどんなふうになるか」と考え、小説に仕立てたのですから。支配階級による労働者の搾取までもが生物学に則ったものになっているところなんて流石!です。


しかしストーリーは如何にもヴィクトリア時代の恋物語なのですよねえ(笑)。男尊女卑社会で生きる淑女の哀しさ、身内の確執や淑女の誘拐、更には労働者階級の悲劇、宗教対立までと盛りだくさんでありながらも、すっきりとまとまって煩い感じはなく、世界観もしっかり構築されて読み応えは充分。でも、お約束の展開はちょっと退屈に感じてしまうかな?いえ、ちゃんと現代風の味付けは施してあるのですが。

一風変わった恋愛小説としてはお勧めですし、最後まで結構楽しく読めたのですが、これまでの世界幻想文学大賞受賞作のような衝撃はありませんでした。いや、これまでがあまりにマニアックすぎたのか(笑)。でも、今までこの賞の受賞作が重く感じられたような人にも気軽に薦められる、楽しいファンタジー小説でありました。

アゴールニンズ アゴールニンズ
ジョー・ウォルトン (2005/06/09)
早川書房
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