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古書修復の愉しみ 

アニー・トレメル・ウィルコックス/著 市川恵里/訳 白水社

大学院に在籍しながら印刷業に携わっていた著者は、大学の製本講座で修復家のアンソニー氏と出会い、彼に弟子入りすることになる。
この修復作業が実に細かい。数百年前のばらばらになりかけた本を一旦ばらし、ページに洗いをかけ、破れをつくろって、外見を元のように美しく再現するだけではなく、また読むことができるように作り直すのだ。正に気の遠くなるような作業の連続。そして一流の技術者達の、自分の得た技術を後世に残す為の努力にも感服である。

「弟子入り」ってなんか懐かしい日本語だが、著者は日本の職人に造詣が深く、師弟制度についても詳しい。英語の「クラフツマン」「アルティザン」では伝えきれない“職人気質”を理解し共感してくれているのは嬉しい限りである。仕事に使う道具も日本のものが頻繁に出てきて、やはり昔からこの国は技術立国だったんだ…としみじみ思った。今でも日本の技術を支えているのは、町工場の職人さんの、経験に裏打ちされた高度で精密な技術だものなあ。

この本には派手な面白さはないが、修復技術やその歴史、図書館の奇観本保存の現状など、本好きの一人として非常に読み応えを感じた。仕事としても、やりがいのある面白い職業だろう。自分の不器用さと飽きっぽさを自覚している身としては見果てぬ夢でしかないけれど。

本書を読了してすぐに、書棚の蔵書をチェックした。大部分が花ぎれ(背の中に貼り付ける、芯の入った布)がなかったり、あっても紙製だったりと、やはりいまどきの大量生産品だったが、一冊だけ飛びぬけてしっかりした作りの本があった。山尾悠子著「ラピスラズリ」である。この本は値段が高かったので一度図書館で借りたのだが、後に内容と装丁の美しさに所有欲が抑えられず購入したもの。値段に負けずに買って良かった~。

古書修復の愉しみ 古書修復の愉しみ
アニー・トレメル ウィルコックス (2004/09)
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