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白い果実 

ジェフリー・フォード/著 山尾悠子・他/訳 国書刊行会

独裁者ビロウの内面から作り上げられた「理想形態市」。恐怖に支配されているこの街の、ビロウの信任も厚い一級観相官クレイは、不死をもたらすという「白い果実」の消失事件を調査する為、属領へと赴く。死後の身体さえも搾取される、貧しい属領の住民たちと、軽蔑のみで彼らと接するクレイ。このクレイの人物像には驚かされた。思わず苦笑を誘われる程に、極限まで肥大した自己愛。他人は全て外観を数値化した観相学的特長のみで分類され、彼らの人間性も発するお世辞に含まれる皮肉も、クレイの心には届かない。そして時折挟み込まれる彼の苦渋と裏切りに満ちた過去…。幻想小説ではあるけれど、描かれているのは重苦しく逃げ場を閉ざされた幻想である。しかし、流麗な文体と、二転三転する魅惑的なストーリー、その上諧謔的でありコミカル、冒険活劇風ですらある物語。読み始めたらもう途中下車は不可能なので、興味を持たれた方は時間のある時に取り掛かって欲しい。一応の解決をもって終わる本書だが、疑問や謎は未解決のまま。 …と思いきや、やはり続編があるらしい。後書きによると、この物語は全3巻で完結するとのこと。翻訳の山尾悠子氏には出来れば本人の新しい作品を期待したいところだが、この続きを待たされるのも辛すぎる。その上本書で既に山尾氏の文体が頭に刻み込まれてしまったので、訳者を変えるなどもってのほか。ジレンマです…それも「理想形態市」の偽楽園のように逃げ場のない。ひたすらに待つしかないです…。

白い果実 白い果実
ジェフリー フォード (2004/08)
国書刊行会
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