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また会う日まで 

ジョン・アーヴィング/著 小川高義/訳 新潮社

4歳のジャックは、父を追う母に連れられて北海沿岸の国々を巡り歩く。行く先々で女性と問題を起こし、身体に音楽を刺青していく父。母は足跡を辿りながら刺青師としての腕に磨きをかけていく。
そして父を捕まえることを断念した母はカナダに落ち着き、「女の子のほうが安心だから」とジャックを女子校へ放り込んでしまう。



…父親譲りの美貌を持つジャック、勿論周囲の女の子(女性も)が放ってはおきません。この辺りは書き方によってはエロチックに陥るところなのでしょうが、妙に醒めたジャックの視点で淡々と語られていくので、不快な感じが全くない。流石。
長じて映画俳優になっても醒めてる。恋人が出来ても長続きせず、恋愛抜きでさえ人間関係を構築するのが苦手なジャック。カウンセリングを受けるくらい悩んではいるのだけど、それが妙に他人事に感じられるというか、自分自身を確立できずに常に演技して生活しているんですよね、彼。

後半は自伝的要素が強いらしく、楽屋落ちが結構あって笑えました。アーヴィング自身が脚色賞を受けた1999年のアカデミー賞授賞式なんてもうあちこち突っ込みどころ満載だし(笑)。

30をすぎ、かつて父を訪ね歩いた港町を再訪するところが本書の一番の読みどころであります。幼少時の記憶と現実の出来事、30年を経て再開した人々の過去と今の姿。もうここからは一気読み!
上巻の冒頭に書かれた幼児期の記憶についてや、この物語そのものが忠実すぎるくらいに時系列に沿って書かれている意味がやっと理解できます。辛いです、キツイです、もう物語にどっぷり浸かり込んで読み手も登場人物と共にもがき苦しみます。初期の頃の作品とはちょいと雰囲気が違いますが、やっぱりアーヴィングです。

元々長いアーヴィング作品の中でも断トツの分量ですが、この長さは絶対に必要なんですよね。ひとつひとつの出会い、ひとつひとつの事件や出来事、そして登場人物の一人一人が大きな意味を持ち、完璧と言えるまでに構築された世界の中で個々の役割を果たしている。ジャックと生きている人たち、死んでしまった人たち、針とオルガンの調べに感謝感謝。

また会う日まで 上また会う日まで 上
(2007/10/30)
ジョン・アーヴィング

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