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シリーズ外SF長編 

宇宙の小石Pebble in the Sky (1950)

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010577-41984年発行

アシモフの長編第1作。また、SF小説で初めて単行本として出版された作品でもある。何万年もの時を越えて、トランター帝国の支配する地球にタイムスリップした老人シュヴァルツが降り立ったのは、放射能に汚染され虐げられた地球だった。そしてトランター帝国を滅ぼそうとする狂信的な一部の地球人達と、地球人であるより人間であろうとする父娘。銀河歴827年、アシモフの未来史としてはファウンデーション以前の銀河帝国最盛期に位置する。

 

暗黒星雲のかなたにThe Stars Like dust(1951)

創元推理文庫 ISDN4-488-60404-8 1992年発行/重版未定

アシモフ初の書き下ろし長編。第一次銀河帝国(ティラン帝国)の圧制の中、地球留学中のバイロンは反乱軍の重鎮であった父を殺され、ローディアの提督に助けを求めるが…
著者自身不満足と述べている作品だが、確かにアイディアとしては中篇向きでしょう。ラストの落ちまでが長すぎて緊張感が持続しない。長編SFという概念すらやっと出来たばかり、いわば黎明期なので仕方ないでしょうが…




宇宙気流 The Currents of Space(1952)

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010247-3 1979年発行

広大な銀河帝国の中で唯一美しく高価な繊維カートを産出する惑星フロリナ。この地ではフロリナ人が安価な労働力となりカートを製品化し、サーク人が富と権力を一手に握っていた。フロリナの工場地区で赤子のような状態で発見された身元不明の青年リックは、次第に過去の記憶を取り戻しつつあったが、記憶を探るうちに「惑星フロリナが消滅する」と言い出す。リックの記憶を奪った者は誰か?フロリナは本当に危機に瀕しているのか?ミステリ仕立てのストーリーが楽しい、アシモフの長編第2作。年代は明記していないが、トランター帝国最盛期、宇宙の小石以前の物語。




永遠の終り The End of Eternity(1955) 

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010269-4

時間軸を自在に移動し、好ましからざる過去を矯正する「永遠人(エターニティ)」の技術師ハーランは、1人の地上人の女性と出会うことで「永遠人」の過去への干渉に疑問をもつようになる…。アシモフ唯一の時間テーマSF長編。ノンシリーズとして書かれた本書は、後にファウンデーションシリーズの作品中でも言及されることになるが、アシモフ自身も述べているように未来史との融合としては成功しているとは言い難い…しかしラストはしっかり銀河帝国の誕生を予言している。




ミクロの決死圏 Fantastic Voyage(1966)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-010023-3 1971年発行

アメリカに亡命する途中、テロで脳に重大な障害を負った物理学者ベネシュ。彼を救うため、5人の専門家がミクロに縮小され、脳の内部から治療することになる。1966年にソール・ディヴィッド監督で制作された同名映画のノヴェライゼーション。アシモフはこの映画の科学的矛盾が我慢出来ず、その後はノヴェライズを手がけていない。しかし当時の映画には付き物だったグラマー美女を書かねばならず、そういう女性の描写を苦手とするアシモフの四苦八苦している様が読み取れて面白い。

 

神々自身 The Gods Themselves(1972)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-010665-7 1986年発行

平行宇宙よりタングステン186にかえて送られてきたプルトニウム186。この交換により、現世界と平行世界では無限のエネルギーを手に入れることになった。数十年後、この取引に疑問を持ったピーター・ラモントは、プルトニウム186と共に送られてきた文書を解読する。その頃並行宇宙では、変わり者の感性子ディアが、自分の配偶者である理性子と親性子との問題で悩んでいた…
ふとした会話から、現実には存在し得ない「プルトニウム186」をテーマに小説を書く羽目になったアシモフ。約束どおり書き上げた本書はなんと長いことノンフィクション、解説本ばかり書いていたアシモフの15年ぶりの長編SFとなった。本書は会話の切っ掛けを作ったR・シルヴァーバーグに捧げられているが、世界中のアシモフファンも、彼に心よりの感謝を捧げたことでしょう…
1973年度ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞。




ネメシス Nemesis(1989)
ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011178-2 1997年発行

西暦2220年。人工惑星ローターは、病んだ地球を離れ、他の太陽系へと旅立つ。地球人を始めとする人類の殆どは、ローターの目的地が1番近い恒星、アルファ・ケンタウリだろうと予測していた。しかし、ローターの目的地は、宇宙塵によって隠されていた2光年先の恒星、『ネメシス』。ローターで生まれ育った15歳のマルレイネは、人の表情から本音を推察する特異能力で恐るべき事実を知ってしまう。それを防ぐ為にネメシスの衛星エリスロに降り立ったマルレイネは、そこで思いもよらぬ「事件」と出会う。
アシモフ久々のシリーズ外作品。でも病原菌に神経質、他との交流を極力避ける人工惑星が後の「スペーサー」へと発展して行くだろうことは明らかでしょう。




ミクロの決死圏2 Fantastic Voyage II: Destination Brain(1987)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011265-7 1999年発行

アメリカの神経物理学者モリスンは、自分の研究を一笑に付され沈んでいた。しかし、ソビエトの科学者が彼の元を訪れ、自国の実験に対し助力を求める。ソビエトで研究中の「人間のミクロ化」を信じきれない彼は断るが、誘拐され、強制的に協力させられることになる。映画会社からの依頼で書かれたものだが、一旦断わり、他の作家が書き始めたものの映画会社から没にされ、再度アシモフにお鉢が回ってきた経緯があり、「自分のプロットで好きなように書かせてくれるならば引き受ける」ということで合意しやっと仕上がった本書。単なるノヴェライズであった「ミクロの決死圏」とは違い、科学解説者の面目躍如の出来上がり。しかし映画はどうなったのでしょう???またお蔵入り?

 

 

木星のラッキー・スター
岩崎書店 ポール・フレンチ名義ラッキー・スター・シリーズ 絶版

舞台は数百年後の太陽系。地球に敵対するシリウス星移民は、太陽系で唯一未開発のまま残されていた土星系を植民地化しようとする。武力攻撃の前線基地になりうるシリウス人の太陽系惑星占拠はなんとしてでも阻止せねば…。科学会議委員ラッキー・スターは、相棒のビッグマンと共に土星へ向う。
う~ん…ロボット3原則、消えた機密文書と読みどころは満載なのですが、このスター君がちょっと…アシモフには珍しく長身の美青年、しかもすぐに地球政府の高官であることを振り回しちゃうし。少年物なのでヒーローはヒーローらしくということなのでしょうが、大人になってから読むには厳しいかも。



太陽系の侵略者  
.岩崎書店 ポール・フレンチ名義ラッキー・スター・シリーズ 絶版 

今回は木星が舞台。9号衛星の地下では重力制御装置「アグラブ装置」の開発が秘密裏に行われていた。しかし、どうもシリウスがスパイを通して情報を入手しているらしい。地球の優位を守るためには、なんとしてでもスパイを見つけ出さねば…ラッキーとビッグマンは、9号惑星の調査に派遣される。
やっぱりラッキーのスーパーヒーローぶりにはついて行けません…。これもストーリーは面白いのですけれど。敵方がロボットを使っているらしいことは分かるものの、ロボットに疎い地球人には見分ける方法が無いところなんて結構楽しかったのです。
できることなら他の小説のように、人間味のある主人公であって欲しかった…。


―参考―

天狼星の侵略 
角川書店 ポール・フレンチ名義ラッキー・スター・シリーズ 絶版・未読

小惑星の海賊 
角川書店 ポール・フレンチ名義ラッキー・スター・シリーズ 絶版・未読

水星基地なぞ
講談社  ポール・フレンチ名義ラッキー・スター・シリーズ 絶版・未読 




ロボットシリーズ 

鋼鉄都市 The Caves of Steel(1953) 

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010336-4

宇宙植民が成功し、宇宙人(スペーサー)はロボットを労働力として貴族的な生活を送る一方、地球では人口爆発により慢性的に食料が不足し、人々はドームに覆われた巨大なシティの中で、ぎりぎりの生活を余儀なくされていた。地球に「反宇宙人、反ロボット」の思想が高まる中、ニューヨーク・シティに隣接する宇宙市(スペース・タウン)内で宇宙人が殺害された。刑事イライジャ・ベイリは、宇宙市の意向で、ヒューマノイドロボットのR・ダニール・オリヴォーと共に捜査にあたることになる…。
アシモフが本格的なSFとミステリの融合に挑んだ名作。




はだかの太陽 The Naked Sun(1957) 

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010558-8

「鋼鉄都市」に続くロボット長編。宇宙国家ソラリアで史上初の殺人事件が発生。ソラリアの要請で、イライジャ・ベイリと惑星オーロラのロボット、ダニール・オリヴォーが捜査にあたることになる。が、ソラリアの社会の特殊性により、遅々として進まない…。容疑者はただ1人、彼の妻グレディアだけと思われるが、納得出来ないべイリはソラリアの特殊なタブーを破って捜査を進める。彼が自らの広場恐怖症と戦いつつ試行錯誤の末に真実に辿りつく、ミステリとして読んでも充分に楽しめる作品。ソラリアの特殊性が、後のロボットシリーズへの大きな伏線となっている。




夜明けのロボット The Robots of dawn(1983)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011063-8 1994年発行

「はだかの太陽」から2年経過し、少数の惑星移住志願者達と屋外に慣れる訓練を積むベイリは、惑星オーロラから招聘を受ける。オーロラで1体のヒューマノイドロボットが破壊され、親地球派のスペーサー、ファストルフ博士に嫌疑がかかっているらしい…。ベイリは惑星移住の実現を夢見てオーロラへと旅立つが…
R・ジスカルド・ベントロフが登場。ベイリが彼(それ?)と二人きりで語り合うラストは駿逸です。ロボットシリーズ中でも個人的に1番好きなシーン。

 

ロボットと帝国 Robots and Empire(1985)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011254-1 1998年発行

イライジャ・ベイリの死後2世紀が経過。オーロラに住むグレディアのもとへ、ひとりの「セツラー」が尋ねてくる。地球から惑星ベイリ・ワールドに入植し、そこで死を迎えたベイリの子孫と名乗る彼は、既に放棄された惑星、グレディアの生まれ故郷であるソラリアへ同行を求める…。フラッシュバックでのみ登場するイライジャ・ベイリの存在が大きく感じられる。三原則に反しようとも「彼のように考える」ことを追求しようとするR・ダニールと、特殊能力を持ちながら、三原則に縛られて不安定になっていくR・ジスカルド。この2体のロボットの存在が、その後の銀河帝国への道筋を開く…ロボットシリーズとファウンデーションシリーズを繋ぐ作品。


本作品以降の物語は、ファウンデーションシリーズ5「ファウンデーションと地球」へ繋がります。


ファウンデーションシリーズ 

ファウンデーション銀河帝国興亡史1 Foundation(1951) 

ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010555-3 1984年発行

何世紀にもわたって少しずつ崩壊を続ける銀河帝国。帝国政府の中心地トランターで心理歴史学の研究をしていたハリ・セルダンは、帝国崩壊後の暗黒時代を最小限に抑えるべく、銀河系の淵にある惑星ターミナスにファウンデーション(百科事典第一財団)を設立する(銀河紀元元年)。本書は1942年からアスタウンティング誌に掲載された中、短篇をまとめたもの。

 

ファウンデーション対帝国銀河帝国興亡史2 

Foundation and Empire(1952)ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010571-5 1984年発行

ファウンデーション設立から200年が過ぎ、ターミナスは着実に周辺の惑星を併合し、版図を拡大していた。帝国は遂にターミナスを壊滅すべく戦いを挑む。その後、心理歴史学にて綿密に計算された未来図を崩壊させる突然変異体〝ミュール〟が現れる。彼は瞬く間に全銀河の半分を制し、ファウンデーションも降伏を余儀なくされる。1945年雑誌に掲載された中篇2作を収録。




第二ファウンデーション銀河帝国興亡史3 

Second Foundation(1953)ハヤカワ文庫SF ISBN4-15-010592-8

ハリ・セルダンによって、ターミナスの「第一ファウンデーション」とともに設立された謎の「第二ファウンデーション」。他人の精神を操作する能力を持つ〝ミュール〟に対抗できるのは「第二ファウンデーション」のみ…。ファウンデーション人のベルタは夫と共に探索に乗り出す。時を同じくしてミュールもまた、「第二ファウンデーション」を抹殺せんと探索を開始する。そしてミュール滅亡後も「第二ファウンデーション」の場所の捜索は続く…
アシモフはこれで完結であるとして、長い間続編の執筆を拒んでいた。1948年から1950年にかけて中篇として発表された作品。ファウンデーション3部作として1964年度ヒューゴー賞過去最優秀長編賞受賞。





ファウンデーションの彼方へ銀河帝国興亡史4 

Foundation's Edge(1982ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011150-2 1996年発行

ファウンデーションの一千年の歴史を計算したセルダン・プラン。ファウンデーション紀元498年、セルダンのホログラフは、現在のファウンデーションの状況を正確に分析していた。しかし、200年前のミュールの出現で、セルダン・プランは最初の計画からずれていなければならないと考えたトレヴァイズ議員は、以前に滅亡させた筈の「第二ファウンデーション」がいまだに存在し、彼らの操作でセルダン・プランの正しい道筋へと修正されて来たのだと確信する。彼は、人類発祥の惑星を探すペロラット教授と共に、第二ファウンデーションを発見すべく宇宙へと飛び立つ。アシモフがファウンデーションシリーズとロボットシリーズの融合を目指して書き上げた、30年ぶりのファウンデーションシリーズ第4巻。1983年度ヒューゴー賞受賞。





ファウンデーションと地球銀河帝国興亡史5 Foundation and Earth(1986)

ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011201-0 1997年発行

「ファウンデーションの彼方へ」の続編。トレヴァイズとペロラット、そしてゲイアであるプリスは、伝説の人類発祥の惑星、地球を探し出すべく旅立つ。最初のセツラー惑星からスペーサー惑星へ、そしてアルファ・ケンタウリを経て…最後に彼らが出会ったものは?
この作品を先に読んでしまうと、すべてネタバレになってしまいます、これから読まれる方はご注意を。

 

ファウンデーションへの序曲銀河帝国興亡史6 

Prelude to Foundation(1988)ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011212-6 1997年発行

32歳のハリ・セルダンは数学の学会へ出席すべく初めてトランターの土を踏んだ。しかし学会で発表した論文が未来を予測する可能性を示すものであったため、時の皇帝クレオン一世の興味を引いてしまった…そして皇帝を陰で操る宰相、エトー・デマーゼルとの決死の鬼ごっこが始まる。
若き日のセルダンが逃亡生活の中で訪れる地区は、ロボットシリーズの読者なら特異性に頷けるでしょう。彼を助けるヒューミンと名乗る謎の男と、彼の仲間ドースの目的は?デマーゼルの真意は?アシモフお得意のミステリ仕立てが冴えています。





ファウンデーションの誕生銀河帝国興亡史7 

Forward the foundation(1993)ハヤカワ文庫SF ISDN4-15-011236-3 1998年発行

「ファウンデーションへの序曲」続編。心理歴史学を完成させる為トランターに留まったハリ・セルダン。最終章はそのまま第一巻「銀河帝国興亡史1」へ続きます。アシモフ自身によるシリーズ最終作。

 




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